「ADHD≠ギフテッド?」IQテスト『WAIS-IV』を受けてみた#2

この記事は【おれはADHDなのか?」生きづらさの正体を暴いてやる!IQテスト『WAIS-IV』を受けてみた】の続編です。よかったらあわせて読んでみてください。

にわか勉強で書いていい内容なのか・無闇矢鱈と長ったらしい文章を読んでもらうストレスに葛藤しつつ降参気味で投稿した結果、「早く続き書け」っていうエールをもらったので書きます。

ちゃぶ台をひっくり返して行ったり来たり、ごちゃまぜを咀嚼しながらエッセンスを抽出する系のカオス気味な内容になっていますが許してちょ。

前回からのあらすじ

WAIS-IVを受けたら、高IQ128という結果通知を手にした卓馬。
以前からADHDに代表される発達障害っぽい傾向を自覚していたが、検査項目別の得点分布からはディスクレパンシー(ある項目だけがくっと点数が低い)もなく、発達障害の傾向はみられなかった。
ADHDだと思っていたら実は「ギフテッド」だったというケースが頻繁にあるらしいことを耳にし、よくわからないので調べまくってみることになった。
調べれば調べるほどに、「なんで俺のことがこんなに詳しく書いてあるの?」感が溢れてくるのだ。

生きづらさや、うまくいかなさの正体を探して、ADHDなのかな?HSPなのかな?と自己探究を深めていく人で溢れる昨今、「もしかすると実はあなたも『隠れギフテッド』(隠れキリシタンっぽい語感の造語)なんじゃないの?」という新鮮な視座・見立てをみんなにシェアしたくなっちゃった。

だってみんな天才として生まれきたんだから。
才能の発動条件は人それぞれだと信じてる。

用語分析:発達障害

発達障害のおさらい。

日本でのDSM-5をベースにした分類では以下の3つを発達障害と呼んでいるようです。
英語の頭文字略語は中身わからないまま遣うと言葉が一人歩きしちゃうので併記します。

発達障害DDDevelopmental Disability
注意欠陥・多動性障害ADHDAttention-deficit hyperactivity disorder
自閉症スペクトラム障害ASDAutism Spectrum Disorder
学習障害LDLearning Disability

用語分析:ギフテッド

「ギフテッド」とはいわゆる天才児のことです。
訳書では「ギフティッド」と表記されることもありますが、このページでは「ギフテッド」に統一することにします。

参考文献としてこの本からめっちゃ引用しています。付箋貼りまくり。

ギフティッド その誤診と重複診断: 心理・医療・教育の現場から

あちらこちらのギフテッドの用語解説を並べて見てみましょう。

ギフテッドの特性

「ギフテッド」という用語は、以下の領域の1つあるいは複数で「並外れた力量を見せる、あるいはその素質のある」様々な人々を広くとらえたカテゴリである。

知的能力全般
特定の学問領域
想像的思考
リーダーシップ
ビジュアル・アーツやパフォーミング・アーツ

この定義が単なる学力あるいは特定のスキルや才能という概念よりも広範囲の能力を指していることは明らかである。ギフテッドと呼ばれる人々は、上記の1つあるいは複数の領域で早熟である可能性がある。

『ギフティッドその誤診と重複診断』北大路書房
gifted

天賦の才のある、有能な、(…に)才能があって、有能で、恵まれて

Weblio 英和辞典
https://ejje.weblio.jp/content/gifted
ギフテッド(Gifted)とは、先天的に、平均よりも、顕著に高い知性と共感的理解、倫理観、正義感、博愛精神を持っている人のこと。外部に対する世間的な成功を収める、収めないにかかわらず、内在的な学習の素質、生まれつきの高い学習能力や豊かな精神性を持っているということである。

Wikipedia
https://www.wikiwand.com/ja/%E3%82%AE%E3%83%95%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89
アメリカ教育省は「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供のことである。」と1993年に定義している。

ギフテッドというのはアメリカの教育心理学で使われるようになった言葉、概念です。
アメリカでは1868年に公教育に飛び級制度を導入したあたりからギフテッド教育が意識され始めるようになったようです。アメリカ教育省が1993年の定義は、半ば強引にギフテッドの全体像をとらるために後付けした文言のように思います。

​ギフティッド教育とは、高いレベルの能力、又は潜在能力を持った子供達を対象に、特別に組んだカリキュラムやクラスを通し、それぞれが持つ才能を伸ばす為の教育です。

日本ギフテッド協会
https://www.jagifted.org/about1-c1w83

大雑把にIQ130以上(人口上位2%)をギフテッドとすることが多いようですが、アメリカでは州ごとに独自の基準(IQ以外の指標や、人口の5%など色々)でギフテッドを定義しているので、単一の定義で「あなたはギフテッドです」「あなたはギフテッドではありません」と認定できるものではないようです。

アメリカのギフティッド教育 簡単なまとめ

アメリカではギフティッドの子供たちが色々な形でサポートしてチャレンジされています。公立学校ではギフティッドと特定された子供達が、普段のクラスから離れ、GATEプログラムと称して行われている教科などを受けています。その一方、私立学校ではギフティッドの子供達の潜在能力を開花させる為に、知的好奇心、探究心、創造的思考や批判的思考などを育むカリキュラム、そして、感情知能教育やSEL(社会性と情動の学習プログラム)にも力を入れています。

実は「ギフティッド」の定義が一つでありません。ギフティッド協会、州、学区、学校、GATEプログラムによって定義が異なります。定義が異なるからにはギフティッドと特定する方法も違いますし、基準も違います。

「IQ130以上」を入学基準にする学校やプログラムもあれば、ギフティッドの子供が持つ特質から主観的に特定したり、その子供達と関わっている先生からの推薦状や、子供達の偉業(コンテストやコンクールの賞)を入学の基準にする学校やプログラムもあります。

日本ギフテッド協会
https://www.jagifted.org/about1-c1w83

「ギフテッド教育」の対象者のことを指してギフテッドと呼ぶようになったようです。

教育制度の話なので、「国家として公教育を通じてどのようにして国益を守るのか」ということが前提にあります。戦前の日本の教育制度が、近代国家の仲間入りをするために、強い軍隊と優秀な官僚機構を維持運営するためのものだったように国家戦略と切り離して考えられるものではありませんよね。

日本のギフテッド教育の現状についてですが、まだまだ公教育への導入は検討段階のようで、7月12日付けの朝日新聞の『突出した記憶力や数学力もつ「ギフテッド」支援を検討』という記事に、文部科学省主導での有識者会議設立予定と報じられていたみたい。

「ギフテッド」と呼ばれる突出した才能に恵まれた子どもの教育支援を、文部科学省が検討し始めた。記憶力や言語能力、数学力などに優れながら、学校での学習に困難を抱え不登校になるケースなども指摘されてきた。どんな才能をもつ子を、どう支援するか――。有識者会議を設けて議論し、2年かけて検討する。

https://www.asahi.com/articles/ASP7D63V5P7DUTIL011.html

ギフテッドという言葉は教育心理学用語なので、教育の対象となる子供達「ギフテッド・チャイルド(ギフテッド児)」のイメージが一般的ですが、大人になったからといってギフテッドを引退するわけではありません。「ギフテッド・アダルト(成人ギフテッド)」という言葉があります。

発達障害が子供の病気(病気じゃないよ!)だとされていた時代が長かったせいか、「大人のADHD」という言い方が意外性を伴ってもてはやされた時期がありましたが、ギフテッドという言葉も人口に膾炙する過程で一般化されて、わざわざ大人と子供を分けて呼ぶこともなくなりそうだと予想しています。

発達障害とギフテッドの誤診

発達障害は精神医学用語で、病院でお医者さんに「診断」されるものです。
ギフテッドは、アメリカの教育用語で、学校の先生や心理士によって「認定」されるものです。

「うちの子、落ち着きがなくて、手がかかるんです」

子育てに困っている親が、自分の子供を病院に連れて行った結果、発達障害だと診断されるのが一般的な発見パターンのようです。対処しきれない問題が発生して、その解決策を探した結果「発達障害に落ち着く」という流れですね。

「うちの子は天才かもしれないからIQテストを受けさせてみましょう!」というケースは日本ではごく稀で、情報収集の網が広くて知見の広い教育ママが、アメリカのギフテッド教育に関心がある場合に限られるでしょう。

もちろん日本の病院で子供にIQテストを受けさせることもありますが、「この子は発達障害じゃなくて、ギフテッドです」と認定されることはありません。なぜなら精神科医にはギフテッド認定はできないのです。

パン屋さんに行っても、おにぎりは買えないんです。
タクシー乗り場で、もっと安くて早い路線バスを紹介してくれることもありません。

病院に行ってもギフテッド認定はしてもらません。

ギフテッド用語:2E

“二重に例外的(特別)な”という意味の「2E」という言葉があります。
英語のTwice exceptionalの略語です。
これは発達障害でもあり、ギフテッドでもあるという複合パターンを指すようです。

教育現場で2Eの子供に特化した学習プログラムを組むことがあるようなので、「丁寧に個別対応してあげる、その他枠」に便宜上名前をつけて2Eと呼ぶことにしたという感じなんですかね?

ちょっとこれ意味がよくわかりません。

精神医学の発達障害と、教育心理学のギフテッドという、分野も粒度も違う二つの概念を、矛盾を承知の上で連結してみる試みという感じなのでしょうか。

研究の進歩や考え方の変遷次第では、数年後には死語になっていそうな気がします。

ここまで調べてみて、発達障害とギフテッドの間にある決定的な違いが何なのか、よくわからなくなってきました。
私のもやもや感をすっきりさせてくれる人、大募集。

誤診?カート・コベインの場合

Nirvanaのカート・コベイン(1967.2.20-1994.4.5)が、ギフテッド児の発達障害誤診の典型パターンだった可能性を示唆する文章を見つけたので紹介します。

Amazonから引用
(カートの)母親のウェンディの言うところによれば、彼が二歳半から三歳になったころ、多動症の問題が現れはじめた。その年頃の男の子ってのは、たいてい多動的なもんだと思うけどね。彼が生まれたとき、両親はまだ若かった。十八歳と二十歳だったと思う。彼ら自身、実際的な意味じゃまだ赤ん坊だったわけだね。カートに多動症の兆候が見られはじめたのは、ちょうど妹が生まれたころだった。

で、ふたりはカートを医者へ連れて行って、最初はリタリンを処方してもらった。でも効かないことがわかったんで、鎮静剤を試したんだが、それも効かなくて、今度は糖分を控えさせるようにした。

誰に話を聞くかでちがうんだけど、カートのエネルギーっていうか、そういうものをコントロールしようとしていろんなことを試したらしいね。それにくわえて、ウェンディの話だと、(父親の)ドンはとくに、多動症的なカートのことをあつかいかねてた。息子のことをあざけったり、ときには頭を殴ったりひっぱたいたりしたようなんだ。


『モンタージュ・オブ・ヘック』を監督したブレッド・モーゲンの発言
https://www.cpr.org/2015/05/04/kurt-cobain-speaks-through-art-and-audio-diaries-in-montage-of-heck/

『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』ジーン・シモンズ著 森田義信訳 星海社新書
ぷりぷりかわゆい幼少期。https://rekisiru.com/5119から引用

1970年代当時のアメリカで多動児にリタリン(メチルフェニデート剤=覚醒剤)を投与するというのは対症療法として一般的だったようです。「眠くて暴れだす子供に薬物投与して覚醒させると大人しくなる」という性質があるんですよね。現在、ADHDに投与されるコンサータという薬も、リタリンの効果をゆっくり長く効くようにしたものです。

しかしリタリンも鎮静剤も効果がなかったことから、ADHDの誤診だった可能性が考えられる。

そして「糖分を控えさせるようにした」とありますが、これはシュガーハイ対策でしょう。精製した糖や炭水化物を大量摂取して急激に血糖値が爆上がりし、糖を代謝し終えたら燃料切れでヘトヘトに疲れて、さらに糖を摂取して、、、を繰り返し乱高下する血糖値の嵐に翻弄されて、と。

ギフテッドの特徴に「反応性低血糖」というのがあります。脳内の活動が活発なため、エネルギー切れになるとイライラして落ち着かなくなるわけですが、デスノートのLが偏食でいつも甘いものを食べているのなんかイメージに近いはずですが。でも血糖値を爆上がりさせないためにも、タンパク質、食物繊維、発酵食品、精白していない穀物、この辺が推奨されるようです。

70年代当時のアメリカの若年低所得層の食事といえば、コーラとトマトケチャップと精白した小麦粉でしょうから、「時代にもてあそばれた天才」とでもいいましょうか。現在のアメリカでマクロビオティックや過激なベジタリアニズムが流行しているのもこの頃の反動が遠因していると思います。

私はアメリカのドラッグ禍について、幼少期のリタリン投与などをきっかけに形成された報酬系の埋め合わせを求めて、アルコール、市販薬、処方箋、コカイン、ヘロインと強い刺激を求めて流浪する刺激ジプシーを大量生産してきたという仮説をたてている。

「本当にADHDなのは1〜2%に過ぎないだろう」

「まったく病気などではないにもかかわらず中枢神経刺激役を処方されている子供が大勢いる。ADHD診断の暴騰を後押ししているものには、強行的な医薬品マーケティングの影響、子供の包括的な評価なしに症状のチェックリストによる診断がなされていること、中枢神経刺激薬が『向知性薬』とみなされていることが含まれる」

『ギフティッドその誤診と重複診断』北大路書房

アメリカでは、ADHDかどうかはわからないけれども、親や教師が束の間の安心を得るためにリタリンを投与されている子供がたくさんいる。向知性薬というのは頭がよくなる薬=スマートドラッグのこと。日本でも60年代に味の素=化学調味料を食べると頭がよくなると言われていた時代があるそうな。

「父親の)ドンはとくに、多動症的なカートのことをあつかいかねてた。息子のことをあざけったり、ときには頭を殴ったりひっぱたいたりしたようなんだ」とあります。

並外れて聡明な子供は、低学年のうちから、ルール、慣習、伝統の意味に活発に疑問を投じる。また、激しさゆえに、権威との間に衝突が生じやすい。その結果、親、教師、友達は不快感を抱くことが多い。ADHDとギフティッドは、その根源や必要とする介入がまったく異なるにもかかわらず、簡易的な「評価」では見分けることができない所以が見て取れるだろう

『ギフティッドその誤診と重複診断』北大路書房

紹介したKISSのジーン・シモンズ(悪役プロレスラーっぽい人)の著書についてちょっと。ロックミュージックの当事者・生き字引が、27歳で死んで神格化されたロックスターの迷信や伝説に切り込み、虚構性を暴きだそうという力強い本でした。勝手に解釈して卓馬なりに言い換えると「神格化された天才を崇拝して身に纏う暇があるなら、自分の中に秘められた才能を見抜け」ということです。

表紙の帯コメントがかっこいいので掲載しておきますね。KISS全然通ってなかったけど「ロック界の良心」を感じて好きになっちゃう。

(本書の目的は)自己破壊などしなくても、この本でとりあげた人々はすばらしい仕事をしたのだと明らかにすること。早逝や精神的混乱や中毒との戦いが彼らの遺産をさらに輝かせるなんて、そんなことがあってはならないし、彼らの物語の焦点になってはならない。逆に言えば、私たちの悲しみはまっとうな悲しみであるべきだ。壁にぶちあたるのはなんてクールなんだ、などという妙な但し書きに飾られたものであってはならない。もし私たちが、私の魅惑などただの神話に過ぎないとしっかり認識すれば、次世代の若き偶像(アイコン)はそんな流れを引き継ぐ必要など感じずに済むかもしれない。

ジーン・シモンズ

『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』ジーン・シモンズ著 森田義信訳 星海社新書

長くなっちゃったので今回はここまで。
ギフテッドの定義について、そしてADHDとギフテッドの誤診っていうのがあるんだな〜ということをカートの例を中心に説明(になってるかわからないけど)してみました。

次回はギフテッドの傾向を中心にあれこれ書いてみるつもり〜。
資料読みながらまとめるのって大変ね。

最後まで読んでくれてありがとう

原田卓馬

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